2023.3.8スキルアップ
AI翻訳ツールはバイリンガル人材の需要をさらに高くする

AI翻訳ツールのDeepLが市場に出てからというもの、巷では「バイリンガル人材の需要が低くなる」という人が一定数います。私はその意見に少し懐疑的で、むしろバイリンガル人材はこれからも高需要であり続けるのでは?と思っています。
今日はなぜそう思うのか?AI翻訳ツール普及の本質とは?といった私なりの解釈を紹介したいと思います。
AI翻訳ツールがなかった時代は言語能力の差 = 情報格差だった
AI翻訳がなかった時代、海外の情報は一定の言語能力を持つ人たちだけが分かる情報源でした。インターネット上にある海外の情報は「誰にでもオープンだが、特定の人だけが理解・解釈できる情報源」でした。
だから、外国語を話す理解する層 vs そうでない層には情報格差が存在しました。ですが、AI翻訳ツールの登場により状況が一変しました。ではどのような変化があったのでしょうか?私はその本質は「バイリンガル需要の掘り起こし」だと思っています。
AIによる翻訳革命の本質は「バイリンガル需要の掘り起こし」である
AI翻訳ツールは「誰でも外国語を自国語に翻訳し、理解できる機会」を提供することに成功しました。つまり、先ほど述べた情報格差をなくすことに繋がり、どんな言語でも自国の言葉に置き換え、解釈できる機会を提供するようになりました。
すると、ビジネスシーンにおいては海外の情報を使ってより深いビジネス上のやりとりをしたり、現地の企業とコラボレーションする動きが増え、国境を超えて取引する機会が増えることに繋がったと思います。
また、外国語初学者にとってAI翻訳ツールは「自分のスキルでは意味理解ができない部分を解説してくれる素晴らしいツール」になり、利用価値が飛躍的に高まりました。そしてツールを使って触れた情報が価値があることが分かれば(自分にとって重要と分かれば)、外国語をもっと学んで理解できるようになることも重要だ、ということに気づきます。つまり、AI翻訳ツールは言語学習者に勉強のきっかけを作る役割も果たすことになりました。
よって、多くの人がAI翻訳に触れるほど外国語ニーズは高まり、AI翻訳と学んだ外国語両方でビジネスをすることが最も効率的、ということに気づく人が増えました。
こんな話をすると「それはバイリンガル人材のポジショントークだろう」と思う人もいるかもしれませんが、そうではありません。実はテクノロジーの進化により、他のスキル習得においても同じような現象が起きているのです。
「スキルの民主化」に一役買ったYouTube
例えば、ビジネスパーソンの必修ツールともいうべきエクセルはどうでしょうか。YouTubeでハウツー動画を無料で提供する凄腕エクセルマスターが増えています。そしてその動画はハウツー本よりも視覚的にわかりやすく、インタラクティブに学ぶことができます。
また動画編集スキルはどうでしょうか。プロ並みの編集は誰もができるわけではありませんが、Adobe Premiere Proの使い方をYouTubeで学び、編集の楽しさに気づき、プロのビデオエディターを目指す人も増えています。そしてアマチュア編集者の間はクラウドソーシング案件をこなしながら、徐々にクライアント様から認められるスキルへと成長させ、より難易度の高いプロジェクトへとキャリアを磨く人もいると思います。
クラウドソーシング市場が生まれたことにより、逆に高品質な動画編集をできる人材の市場価値が上がったとも言われています。
つまりスキルが民主化されると、高品質、プロ向け需要というのはさらに底堅くなっていると思います。ただし、プロの業界で活躍しようと思うと、本当にプロフェッショナルでないと生き残れません。スキルを活かして働く人の数が増えれば、その分競争も激しくなるので、継続的にスキルを磨き続けることが大切です。
スキルを磨き続けることの大切さは、もちろん今に始まったことではありません。ですが、スキルが民主化され、アマチュア向けの市場が生まれたからこそ、スキルを持つ人の母数が増え、市場全体で競争が激しくなっているということは言えると思います。
これと同じことが外国語スキルのシーンでも起きている、というのが私が日々感じていることです。私は英語を勉強し始めて30年ほどが経ちますが、ビジネスシーンで英語に触れる人の数は増えている一方、まだまだ日本ではそのスキルを駆使して高度な交渉やプロジェクトマネジメントをできる人材は少なく、逆にそれができる人材はクライアント様から重宝されているな、と感じます。
まとめ
私たちは情報が溢れる時代に生きています。その分嘘の情報もたくさん溢れています。今後、人間はより信憑性の高い情報や質の高い情報を求めていくでしょう。
AI翻訳の登場により、情報源に国境は無くなっています。そしてビジネスパーソンは海外の情報と自分が今持っている情報を比較しながら、ビジネスをあるべき方向に導いていきます。その時に大切なのは、言葉を自分なりに解釈し、外国語を操り問題解決にあたることです。グローバルな環境でビジネスを進めていくためにも、日々研鑽をしていきましょう。
お問い合わせ
ブリッジSE に関する事なら何でもお気軽にお問い合わせください。
ITスキル x 英語スキル x MBAで得た経営視点を活かし、御社のIT プロジェクトを成功に導きます。