キャリア形成の際に意識したい「ポータブルスキル」という考え方

自分のキャリアを形成する際に、どの部分をどのようにアピールしていくことが効果的なのかわからない人は結構多いんじゃないかと思います。実際にビジネスシーンでそういうことを教えてくれる場はほとんどないですよね。

そんな中、グロービスの授業でその悩みを解決する考え方に出会いました。これを意識しているか否かで、アピールできるスキルに違いが出てくると思います。ということで、今日はその考え方を紹介します。

企業に属している人にもそうでない人にも役立つ考え方なので、ぜひ読み進めてみてください。それではどうぞ。

ビジネスパーソンの能力は2つに分類できる

アメリカの経済学者 Gary Beckerは、ビジネスパーソンの能力は大きく2つに分類できると述べています。それがまさにキャリア形成する際に有効な分類になります。その分類を「一般能力」と「企業特殊能力」と呼びます。

一般能力

一般能力とは「どの企業で使っても役立つ知識やスキル」のことで持ち運び可能なスキル、いい換えるとポータブルスキルになります。具体的には以下のようなスキルになり、意識的に取り組むことによって自分のスキルになっていきます。

  • データ分析スキル
  • コミュニケーションスキル
  • 問題解決能力

企業特殊能力

企業特殊能力とは「特定の企業のみで役立つスキル」のことで、持ち運びが難しいスキルになります。所属する企業や組織で仕事をする中で得られる、その企業特有のスキルになります。具体的には以下が該当します。

  • その企業独自のITシステム活用スキル
  • 社内の人間関係に関する知見(決済ルート、根回しなど)

企業特殊能力に依存している人(持ち運びが困難なスキルばかりを磨いてきた人)は、新しい職場でのパフォーマンスが落ちることがあるといわれています。

例えば同じ企業での勤務経験が長い人は、関連部署への融通がききやすいため社内調整がしやすいケースがあります。それはその会社にいるからこそ可能な能力であり、他の企業で同じことができるとは限りません。

また、企業のネームバリューも企業特殊能力になります。所属企業の知名度に依存して自己研鑽をやめてしまうと、他の企業や組織でアピールできるスキルを得られない可能性があります。

よってキャリアを形成していく上では一般能力、つまりポータブルスキルを獲得していくことが、対外的に自分をアピールするのに効果的ということになります。

能力の階層構造

また「一般能力」と「企業特殊能力」の間には階層があり、以下のような特徴があります。

同じ業界内で活動の幅を広げたい人であれば、「一般能力」「戦略的能力」「業界特殊能力」を対象にセルフチェックし、関連する能力を持っているかどうか考えるといいと思います。

参考に、IT業界で15年働いてきた私のセルフチェック例を考えてみます。

能力の階層構造を活用したセルフチェック例

一般能力(どの企業でも役立つスキル)

マーケティングスキル

  • 戦略スキル:STP/4Pなどを使って自社が戦う場所を考え、社内を説得するスキル
  • ユーザー視点:自社の都合を排除し、サービスの使いやすさを考え抜く姿勢
  • 分析スキル:財務諸表をざっくり読んで企業の強み弱みを分析するスキル、アクセス解析データからサイトを改善するスキル
  • プロモーションスキル:プロモーション結果を分析し改善していくスキル、コミュニティを活用してファン作りする活動の知見、デジタル広告の知見

プロジェクトマネジメントスキル

  • コミュニケーション力:周囲の人々に気持ちよく働いてもらうために必要なコミュニケーション能力、30ヵ国以上の人々と英語で働いてきて得た異文化理解力
  • スケジュール管理スキル:ゴールから逆算して必要なスケジュールを計画し、実施していくスキル
  • コラボレーションスキル:他部署を巻き込んでプロジェクトを進めていくスキル

戦略的能力(経営上直面する課題に取り組む中で身につけた能力)

  • 新規ビジネスやプロジェクトを立ち上げた経験:ユーザーが少ない状態からサービスを立ち上げ、一定規模に育てた経験
  • チームマネジメントの経験:チームでプロジェクトに取り組んで、成功に導いた経験

業界特殊能力(業界特有の専門知識や顧客に関する知識に起因する能力)

  • SaaSプロダクトのプロモーション経験:フリーミアムモデルのサービスを普及する際に行った施策と、結果に関する感覚値を持っていること
  • IT業界でB2B、B2Cビジネス両方の知見:顧客との関係づくりにおいて本質的に違いがあることを経験している点

企業や案件の具体名を述べるのは控えましたが、階層構造のフレームワークをイメージしてスキルをリストアップすると、いろんな経験をしてきたことがわかりました。みなさんにも必ずリストアップできる経験があると思うので、ぜひ試してみてください。

ここからは採用する企業が個人のスキルをどのように評価するのかを紹介します。

企業が人材を評価する際の考え方

能力の高い人材を求める企業では、以下のような視点で人材のことを評価しています。

つまり、企業にとって評価が高い人材は

「自社に必要な能力を持っていて、かつ自社では育成しにくい能力を持っている人」

になります。そういう人材と出会ったら、企業はその人を採用したいと思います。逆に「自社に必要だが、育成しやすい能力を持つ人」は採用の優先度が下がります。

そう説明すると「そんなレアな能力をもつ人は少ないはず」と思うかもしれませんが、そういうことではありません。自社で育成しにくい能力とは、まさに冒頭で紹介した「一般能力(どの企業でも役立つ能力)」のことであり、仕事を通じて獲得してきた「成果を出すための能力」になります。

仕事で成果を出すためにどういうことにこだわってきて、その結果どういう能力を開発することにつながったかを自分の言葉で語れる人を企業は求めているのです。ぜひ参考にしてみてください。

まとめ

いかがでしたか?

ポータブルスキルは、真摯に仕事に取り組んできた人なら誰しもが持っているスキルです。しかしそれを言語化して語れる人は意外と少なかったりします。

これを機にぜひ「自分が担当する仕事にどのように向き合ってきた結果、どういうスキルを開発できたのか」をセルフチェックして、言語化してみてくださいね。