UXディレクションの現場で学んだ異文化理解 3つのコツ

これからグローバルに活動する人やすでに活動している人にとって、外国語でコミュニケーションとれることはもちろん大切なんですが、それと同じぐらい「異文化理解力」というのが大事になってきます。

今日は、自分が現在フリーランスとして海外とやりとりする中で感じる「異文化理解の重要性」について書きます。海外企業との仕事の進め方で悩んでいる人や、これから海外との仕事をしていく人たちにとって参考になれば嬉しいです。

UXディレクションという仕事

僕は現在フリーランスで、ある企業のプロジェクトに携わっています。そこで主にWebサイトのUXディレクションをしています。具体的には申し込みフォームの改善をおこなって申込数の増加を試みたり、顧客単価が向上するような申し込みフローを企画・実装したりしています。

改善策の中にはビジネス部署からあがってくる案件もあり、何をどうすることがビジネス要件を満たすのかを考えながら、Webで実装すべき挙動を考えています。

こちらである程度要件が固まったら、そのあとは海外の開発会社と打ち合わせて要件定義し、その後実装をしてもらいます。

英語でのコミュニケーションは問題なし

海外の企業にUXディレクションをするのは初めての経験ですが、これまで外資に勤務した経験もあるので、コミュニケーションには結構自信がありました。

でもこのプロジェクトで、これまでの経験で蓄積してきた自信を疑うような経験をたくさんすることになりました。

海外企業とのやりとりで直面した課題

開発中の案件で以下の状況に陥ることが増えて、僕を含めチーム内の雰囲気がどんどん悪くなっていったのです。

海外の開発会社がこちらの提案を受け入れない

UXとはUser Experience(ユーザー体験)のことで、教科書に定義されるような決まった「いいユーザー体験」があるわけではありません。なので決まった要件に対しあるべき姿を議論するのですが、その海外企業はこちらの提案をまったく受け入れずに案件を進めようとするケースが多く発生したのです。

会議での発言をよく聞いてみると、自社が持つUXの知見を信じていて、それ以外の考え方はNGというような発言が多くみられることに気付きました。

成果物が依頼したとおりになっていない

UXというのはフワフワしたものなので、議論中には色々な意見があっていいと思うし、むしろそうあるべきだと思います。しかし開発の途中で内容に齟齬があったのか、合意した内容通りに成果物が上がることはほとんどありませんでした。

「文書で確認、合意しているものでも成果物が全く違う形に変わってしまうのか…」「日本語でやりとりできたらもっとラクなのに…」と思うこともしばしばありました。

異文化理解 課題の考察

これではいつまでたってもらちが明かないと思い解決策を考えていたところ、以前読んだ本のことを思い出しました。

国によって違う会話の文脈(コンテキスト)

世界的に有名なビジネススクール  INSEADの客員教授であるエリン・メイヤーさん著「異文化理解力」では、国によって会話の文脈(コンテキスト)を理解しようとする度合いは違う点が詳細に紹介されています。

例えば、

  • アメリカやオランダ、ロシアの人々は直接的な表現を好み、会話の文脈性は低い(ローコンテキスト)
  • 日本は世界で最も行間を読んで会話をする国民性で、会話の文脈性は非常に高い(ハイコンテキスト)

というようなことが書いていました。これを思い出したときに自分が直面する課題がなるほど!と納得いきました。

相手がNoといっている度合いがどれぐらいのNoなのかを深掘りしていけば議論も建設的になるかもしれません。つまりその発言にどれぐらいの意思がこもっているのかは、出てくる言葉だけではわからない、ということです。

また文脈という観点だけでなく、その国(や地域)の人々の仕事観にも目を向けてみると、新しい発見がありました。

受託開発に対する考え方の違い

海外の場合

例えば海外の広告クリエイティブ領域では、グローバルブランドを支援するのが大手のクリエイティブエージェンシーではないケースもありますよね。クリエイティブを発注するグローバル企業は「価値あるもの」に対してお金を払うので、エージェンシーも価値を発揮できるかどうかを重視します。

今回僕が直面したケースを考えると、その企業は新しい視点や発想を重視するので、自社が持つ価値にこだわっているのかもしれません。

日本の場合

一方日本のシステム開発会社は、大規模開発になればなるほど「顧客が定義し、合意した内容を完成させる」ということにこだわっているような気がします。なので成果物は双方が合意した内容になっているかどうかが重要であり、発注企業はそういう視点で成果物を評価します。

途中でいいアイデアが浮かんで成果物の内容を変更する場合は、その旨も合意して進めるのが一般的だと思います。

では僕が直面した課題を解決するには、なにがポイントになるでしょうか?自分なりに考えたところ以下の点がいいと考えました。

ビジネスシーンでの異文化理解 3つのコツ

1. 仕事観の違いを認識してもらう

異文化理解の最初のステップはやはり「お互いの違いを認識する」ことだと思います。今回のケースでいうと「仕事観の違いがある点」を相手にしっかり伝えることです。お互い別の視点で議論していることを明確に伝えることは、歩み寄りの最初のステップとして非常に重要ですよね。

自分と違う意見を持っているからそもそもNG、という姿勢ではどんなに頑張ってもお互い理解することはできません。よって見方が違うから改善しよう、調整しよう、と伝えることが大切です。

2. 仕事の評価基準について認識を合わせる

次に議論すべきは「仕事の評価基準」についてです。成果物がどういう状態だったら高く評価しやすいか、またその反対はどういう状態かを明確に伝えることが大事だと思います。

私たちはアートに取り組んでいるわけではなくビジネスの成果を求めて動いているので、成果物の評価基準について合意すべきです。その上で新しい発想やアイデアを取り入れていくと、お互いの努力がよりよい仕事につながります。

3. 状況に応じてベストな選択をする、と合意をする

最後に「いい成果物を採用する」ということに合意すべきです。アイデアの元がこちらであれあちらであれ、お互いのよい点は認め合うべきだと思います。「誰がいうかが大事ではなく、なにをいったかが大事」というのと同じですね。

まとめ

海外とのやり取りに自信があったのに色々苦い経験をすることになって、相手との議論を重ねながら深く考えて…色々回り道したような気もしますが、今時点で考えられる最善の方向性は↑です。

今では、実際に議論の立ち位置や視点が違うことを相手に伝えるだけでも建設的な議論ができるようになり、少しずつですが状況は改善されてきました。

この記事がみなさんの考え方を振り返っていただくきっかけになったら嬉しいです!