
個人でも法人でも、自分のポジショニングをうまくできてそのポジショニングに忠実に行動できる人は、顧客や同僚からの評価が高いと思います。
でもポジショニングという言葉だけが一人歩きして、そのお作法というか考え方の手順を知らない人も結構多いんじゃないかと思います。なので今日は「ポジショニングを考える手順」について解説します。
なおこの記事は「グロービス経営大学院」と【グロービス学び放題】で学んでいる内容を活かして書いています。
ポジショニングとは
ポジショニングとは、「ターゲット顧客にどのように好ましい形で自社の製品・サービス認知してもらうかを決めること」です。マーケティング戦略を考える上で重要です。
世の中には自社と同じ製品やサービスを提供していうる会社はたくさんあります。その中から自社を選んでもらうためにポジショニングは必要になります。
自社のポジショニングを決める手法として「ポジショニングマップ」というのがあります。ポジショニングマップは、顧客ニーズに合った軸を二軸で表し、自社を有利な方向に位置付けることです。競合との差別化ポイントを強調し、自社製品の魅力を認知してもらうために作ることがあります。
とあるスニーカーを例にして具体的に説明していきます。
ポジショニングマップの描き方
自社製品の特徴を洗い出す
まずは自社製品の特徴を洗い出す作業が必要です。例えばとあるスニーカーには以下の特徴があると考えました。
- ファッション性高い
- 軽い
- 耐久性あり
- 防水
- サステナブル、環境に優しい
特徴を洗い出す際に大事なポイントは、「機能だけでなく製品がもたらすイメージなども洗い出す」という点です。今回の例でいうと「環境に優しい」というのは、機能ではなくイメージになります。
顧客ニーズに訴求するポイントを選ぶ
特徴を洗い出したら、その次に顧客ニーズに訴求するのはどれか?ということを考えます。顧客はどういうことに困っているか、どういう点を訴求することでこちらに振り向いてくれるのか?ということを
- これまで顧客とコミュニケーションしてきた肌感覚
- 客観的な調査
- 世の中のトレンド、風潮
などの情報を駆使してじっくりと考えます。そうすることでターゲット顧客の顕在、潜在ニーズに訴求するポイントを軸にするような思考が身についていきます。
製品の訴求ポイントを2つに絞る
顧客ニーズに訴求するポイントや方向性が定ったら、次は選んだ訴求ポイントを2つに絞ります。
自社の製品・サービスであればたくさんの魅力を顧客に伝えたくなるものだと思います。ですが、ポジショニングマップでは訴求点を2つに絞ることが必要です。その理由は以下の通りです。
- 顧客が製品の特徴を理解するのは2つまで、といわれているため
- 多くの訴求点を伝えると結局何がいいのかわかりにくくなり、顧客の印象に残すことができなくなるため
冒頭にも説明した通り、ポジショニングとは「ターゲット顧客が好ましい形で自社の製品・サービス認知すること」がゴールなので、多くを語るのではなく、明確な何かを伝えることをイメージしましょう。
ポジショニングマップの例:スニーカーの場合
これらのプロセスを経て、今回は5つの訴求点から、以下のポジショニングマップを作ってみました。
- ファッション性高い
- 軽い
- 耐久性あり
- 防水
- サステナブル、環境に優しい
このマップを作るにあたって考えたことがマップ作成のコツになりますので、それも紹介します。
ポジショニングマップを作成する際のコツ
競合との差がわかりやすいポイントを選ぶ
大事なのは競合との差が分かりやすいことです。競合も自社と同じ訴求をしていたら差別化しにくくなり、価格競争に陥ってしまうかもしれません。よって他社と比較したときに自社が目立つような軸を訴求するようにしましょう。
例えば今回のスニーカーの例のように、環境に優しい素材や製法で製品を作っていたとしたら、それは他社にはない新しい価値として十分訴求できるものだと思いますし、時代の流れ(地球環境への配慮)にも合っているということができます。
新しい差別化軸を考える
例えばフィットネス業界で、パーソナルトレーニングジムは「一人ひとりに合った個別メニューで顧客をケアすること」を価値としていますが、全国展開する24時間営業のフィットネスでは「いつでもどこでも通えること」を価値としています。
どちらが正しい、というのはないと思いますが、重要なことは顧客が何を魅力と感じているかに注目することです。フィットネス業界の例より、両者のターゲット顧客は違うことがわかると思います。
自社が伝えたい魅力に囚われず、自分の顧客が求めていることを分かりやすい言葉やイメージで訴求していくことが重要です。
まとめ
いかがでしたか?自社のことをうまくポジショニングするためには、まず「顧客が求めていること」「顧客が難しいと感じている課題」を知る必要があります。その上で、それらを解決する方法としてポジショニングを考えていくことが大切です。
ポジショニングと訴求が上手になれば、個人であっても法人であっても周りの人々にたくさんの価値を提供する機会に恵まれます。そうなれるように日々自分のポジショニングを磨いていきたいですね。
ポジショニングにこれで完成!というのはなく、時代によって変えていくものだとも思います。そのことを念頭に、変化していける柔軟性も持っていたいですね。