PEST分析のお作法と分析例を紹介します

近い将来に世の中で起こりそうなことをぼんやりとでも捉えることができたら、自社の戦略を立てるときに役立ちそうですよね。誰にも未来はわからないけど、どういう流れがきそうなのかを捉えておくことは、ビジネスパーソンとしても個人としても大事なことだと思います。

今日はそんな分析に役立つフレームワーク「PEST分析」を紹介します。なおこの記事は「グロービス経営大学院」と【グロービス学び放題】で学んでいる内容を活かして書いています。

PEST分析とは

企業を取り巻くマクロ環境を分析するフレームワークです。世の中の流れと言い換えることもできます。PESTは以下4つのキーワードの頭文字をとってそう読んでいます。

  • 政治(Politics)
  • 経済(Economy)
  • 社会(Society)
  • 技術(Technology)

PEST分析を行うメリットは、自社に関係しそうな世の中の流れを把握することによって、今後顧客にどういうニーズが出てきそうなのかを考えるのに役立つことです。分析が新製品、サービスを検討する材料になります。

これから個々の分析軸についてやり方を解説します。

PEST分析のお作法

政治(Politics)

政治による社会への影響を考察する際に抑えたいポイントは、

  • 規制緩和
  • 規制強化
  • 自社のビジネスに関係する裁判での判決
  • 税制変更
  • 政府や関係団体の動向

などがアップデートされているかどうかを把握することです。

規制緩和の例でいうと、「観光立国基本推進法」に関連して中国個人観光ビザの発給が始まったことによりインバウンド需要が増加、小売業などに新しいビジネスチャンスが訪れる、といったことがありましたね。

経済(Economy)

経済動向を分析する際に抑えておきたいポイントは、

  • 景気動向
  • 金利・為替の動向
  • 物価動向

などを観察し、その変化を考察することです。

製造業や貿易に携わる人は、為替が会社業績に直接的に影響しますよね。円高になれば海外に商品を販売するのは不利になり、円安になれば有利になります。旅行業であれば、円高は現地でのショッピングがしやすくなるため有利、逆に円安は現地の物価を高く感じることになるので不利になります。

社会(Society)

社会動向の分析は消費者のニーズの変化を把握するのに重要な役割を果たします。

  • 人口動態:少子高齢化など
  • ライフスタイル:女性の社会進出、ワークスタイルの変化、価値観の変化など

社会動向の変化が、自社にとって機会にも脅威にもなるということができます。例えば女性の社会進出によって食品メーカーは料理を時短できる商品開発を積極的に行っています。これはまさに社会の変化を捉えた戦略の一つということができますね。

健康志向、ダイエット意識の高まりで低糖質食品がブームになったこともライフスタイルの変化によるものですね。

技術(Technology)

この20年で世の中に大きな影響を及ぼしているのが技術の進化です。技術トレンドの分析で抑えておくべきポイントは、

  • 技術革新:インターネット誕生、通信速度向上、コンピュータ処理能力向上など
  • 代替技術:今の技術に取って代わるものがあるかどうか
  • 生産・商品化技術:ムーアの法則によって製造コストが急激に下がるような技術革新があるかどうか

ここ数年の技術進化はとてつもなく早いので、これまで通用していた技術が別のものに取って変わられることがあります。たとえば電気自動車の登場で、従来型の自動車製造技術の一部が消滅してしまう可能性もあるかもしれません。

また最近は、新しい技術が発展するスピードに法整備などが追いつかないケースも多くなってきました。暗号通貨技術の誕生と発展のスピードが速すぎて、各国の受け入れ態勢に大きく違いが出たのはまさに法整備が追いつかない事例だと思います。

それではお作法がわかったところで、実際にPEST分析をやってみましょう。通信業界を例に分析をしてみます。

PEST分析 通信業界の例

政治(Politics) 菅官房長官 2018年8月の発言「大手携帯事業者間に競争が働いていない」をきっかけに、総務省による値下げ議論が加速化
経済(Economy) 携帯事業者の料金横並び、当時業界改革を期待されていたソフトバンクでさえも他社と横並びの傾向
社会(Society) スマホ浸透による消費行動の劇的な変化
技術(Technology) 5Gの誕生、世界的に普及が期待されている

IoT技術、ビックデータ、AI、機械学習、自動運転技術の台頭

このような大きな流れ、とくに5Gの登場によってビジネスのあり方や、人々の生活を一変するようなイノベーションが起きようとしているのがまさに今、ということになります。おそらく向こう5年でまた新しいビジネスが誕生し、世の中が進化すると思います。

PEST分析のコツ

分析するテーマがあまりにも大きいため、どの粒度で分析すべきか?と悩む人もいるかもしれません。そんな時は、自社に影響があることに絞って分析をしていきましょう。↑の分析例ではその辺を意識して考えてみました。

またそれぞれの項目が他の項目にどういう影響を及ぼしそうなのかを考えると、それぞれの関係性についても理解が深まるのでいいと思います。

まとめ

いかがでしたか?PEST分析のみを使って企業の戦略を立案することは難しいのですが、戦略の方向性についてヒントを得ることはできます。↑の例でそれが少しでも伝わっていたら嬉しいです。

実際にはこれに3C分析、SWOT分析、STP / 4Pなどのフレームワークを使って分析の精度を高めていきます。他のフレームワークについてはまた別の機会に紹介したいと思います。